マルディーニ

1980年代から90年代に掛けてのミランの栄光の歴史、それはマルディーニの栄光の軌跡と見事に一致する。ダイナミックな攻め上がり、1対1での圧倒的な強さ、状況判断の良さ、世界最高とも言われる戦術理解能力で10年近く世界最高のLSBの座を守り続けた。
 1968年6月26日、偉大なる父、チェザーレ・マルディーニの息子としてミラノの街で生を受け、1984年、生まれた時から運命付けられていたかのようにミランでプロデビューを果たす。19歳で代表初キャップ、20歳でスクデット獲得、更にはUEFAチャンピオンズカップトヨタカップまで制覇し、20代前半にして殆どのタイトルを取り尽くす。
 イタリア代表として同国史上最多となる126ものキャップ数を記録し、UEFA.C.L.を4度、セリエAを7度制覇。2006年9月25日に行われたセリエA第5節トレビゾ戦でディノ・ゾフの持つセリエA最多出場記録を更新。マルディーニ家はトロフィーとメダルに溢れ、彼の偉業を上げれば枚挙に暇がない。その一方で苦渋も味わってきた。1994年ワールドカップ、2000年欧州選手権は共に決勝にて敗退。代表引退を明言して臨んだ2002年ワールドカップでは受け入れがたい結果に終わり、代表レベルではタイトルを獲得できず。2004/05シーズン、UEFA.C.L.決勝のリバプール戦では自ら得点を記録するも、3点のリードを追いつかれPK戦にて優勝を逃した。
 パオロ・マルディーニはイタリア・カルチョ史の生きる伝説だ。一時期は衰えを指摘されスピード不足を露呈したが、プレースタイルを変え再び世界トップレベルのDFとして復活した。2005/06シーズン第6節のレッジーナ戦では37歳にして自身初となる1試合2得点を記録。技術的にも、精神的にも未だにミランを牽引し続ける。ミランとの契約は2007年6月末までとなっており、2006/07シーズン一杯での現役引退を明言しているが、彼がピッチを去る姿は余りにも想像し難い。20年以上に渡る現役生活の中で彼はどれ程のものをフットボール界に与え、現役を去る際、フットボール界はどれ程の損失を被るのだろうか。

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